Vol.17 ミッシー・バルデズ/サーファー
大学では自然環境をバッチリと勉強する予定なの。
本格的に学べば多くの人に自然を守る大切さを訴えられるでしょ。
ノースショア、ププケアにゴージャスな4フィートの波が押し寄せたその日。エメラルドに光る波のリップにひたすらアタックするロコガールがいた。リップから降り被さるその重たいリップに叩かれも叩かれても挫けることない。泡と化した波のシュプームの中から這い出り、また波のリップに向っていく。
吹いていた風が一瞬止まった。
水平線を盛り上げたセットが、まるでそのロコガールに惹き付けられるかの様に近づいてくる。
スウェルは彼女の背後で大きく膨れ上がった。
百年も前からその行動は決められていたかの様に彼女はストンとそのエメラルドカラーの波に入った。
降り立ったボトムでパワーを保って保って保つ。次の瞬間だ。
そのパワーをフワッとリップで解き放した!!
アレ?! 波は確か水だったよなー。
水の上には乗れないはずだが、、、。
まるで雲に乗っているかの様だ。一瞬時間が止まったかの様にも思える。きっと1秒にも満たない時間だっただろうに、彼女がリップに止まった時間は、数分にも感じられた。
上手に着水した彼女、欲しかったものを手にすることが出来たのだろう。その一本を乗り終えた直後、そのロコガール、誇らしげな表情で浜を後にしていった。
ミッシー・バルデズ。文頭のロコガール。パイナップルフィールドの中心に位置する住宅地、ハレマノで育っただけに生粋のロコガール。その彼女、18歳という若さだというのに、モチベーションの高い充実したライフを送っている。
ミッシー:
『今年の秋から通うことになっているハワイ大学では自然環境をバッチリと勉強する予定なの。大好きな海に将来的には何かをお返しをしたい。それで大学で本格的に学ぶことに決めたの。本格的に学べば多くの人に自然を守る大切さを訴えられるでしょ。それに大学は週に4回行けば単位を取れる仕組み。ということは週に3回、ウフフ、、波乗りできるしね(笑)』
現在ハッピームードで暮らすミッシーだけれども、実際育った環境は複雑だった。(自分の意思ではない)両親の離婚という無理矢理に乗せられたジェットコースター。そこから抜け出しステイブルな日々を獲得できたのは、やはりサーフィンに巡り会ったからだ。

ミッシー:
『10歳の時の誕生日プレゼントよ。(大事に部屋に掛けられている茶色く日焼けしたショートボードを指差す)それまで波乗りにはあまり興味なかったんだけど、ちょうど親と離れて暮らさなければならなったりで、、。海に入れば色んなことを清算できるのよね。それ以来、海は私のかけがえのない友人。大事な役目を果たしてくれ続けているわ。(笑)』
両親と離れ、ヒイおじいさん、ヒイおばあさんとの生活を余儀なくされたミッシーだが、そこには全くジェネレーションのギャップはない。むしろニュージェネレーションが新たな良い風を吹き込み、老夫婦を活き活きとさせている、そんな感じにも見える。
ミッシー:
『波乗りに欠かせない体を作るのは何を食べるか、だから、、、(横目でグランマに目をやり)グランマーの作るものなんかもう食べられないわ(笑)』と言われたグランマー(TRINI)も怒る様子は全くなく、
『私は豚肉の料理が得意なのよ。でもね、ミッシーは自分でサラダなんかを作って食べるのよ。私にも進めてくれてね、赤肉よりも魚の方がよっぽどヘルシーだって。本当にシッカリしていて優しい良い子なのよ。頭もいいし、なんたってハワイ大学に受かったんだから。』
と嬉しそう。。
ミッシー:
『グランマァ〜!やめてよ。はずかしいじゃないのぉ。』
家族3人常に世話で忙しく過ごしているという。地球上のライフサイクルがここに凝縮して見られる様な家だ。そんな中で暮らすミッシー。最近はネイティブプランツの勉強も始めた。
ミッシー:
『元々あったハワイの植物を勉強してみると驚くことばかりよ。いかに人が元あった環境を変えてしまったのか、、、。
残念なことよね。
4年前にフィジーに行ったんだけど、そこがまさに昔のハワイみたいなところ。ローカルのシンプルな生活を観てカルチャーショックよ。テクノロジーに囲まれてないままの生活は本当に自然に優しいのよ。携帯電話なんか持ってなくても、みんな幸せに生きている。あ〜これが人間の本来の姿なのかしら〜って思ってね、、。
あ、、、すべてサーフィンからね。こうやって自然のことを学んだり考えたりする様になったのは。』
ミッシーが使うサーフボードも自然に返る素材から出来たエコボード。 (車で10分もあれば行けるワイアルアに住む)シェイパー、サドイ氏の唯一のレディーステストライダーとしても活躍中だ。
ハレイワのビックウエイバーでもあるそのサドイ氏の影響もあり、最近は8フィートの大波にもチャレンジする様になった。
ミッシー:
『一本気合いで乗ってみたら、それまでのフワフワの気持ちが吹っ飛んで、なんてゆうのかしら、ドッシリ胆が座るみたいな、、私、あの感覚大好き!!そうね。チャンスさえあればプロサーファーになりたいな。世界を廻って文化も学べるし。好きなサーファーはメラニ・バ ーテイル。メンズだったらミック・ファニィング。二人とも本当に波乗が好きでものすごく誠実。波乗りスタイルも無理なくスムース。
あ〜波乗したくなってきたきたわ。
次のスウェルはいつって聞いてる?』
約2時間のインタビューに付き合ってもらったミッシー。
サーフィンの話に入ったとたん、(とくに大波を目の前にした時の話になったとたん)また時間がグウーンと広げられた様な気がした。ちょうど、あのププケアでのセッションを観ていた時の様に。


【ミッシー・バルデズ】
ベストコンテストリゾルト 2004年 ビラボンジュニア4位
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取材・文:エミコ・コーヘン/写真:ゴルジーニョ
エミコ・コーヘン(旧:堺 恵美子):
元日本アマチュアチャンピオン。世界大会5位のキャリアを持つプロボディボーダー。初心者から上級者まで対応のボディボードレッスンが好評で雑誌等でも特集される程。
現在は日本の雑誌などでインタビュアー&ライターとしても活躍中。
ゴルジーニョ:
プロカメラマン歴25年。20代前半に観光で訪れたハワイの自然の美しさに魅せられ移住。フリーランスカメラマンとして、サーフィン、ボディボーディング、セイルボーディングなど
アクションスポーツの写真を世界各国の雑誌に寄稿。
サーフィングワールド誌の表紙を飾るなど日本でも注目のサーフフォトグラファー。
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